底辺と医師国家試験対策

医大生のポリクリ日記をイメージして書いています

【小節メモ】熟柿

 

 

久しぶりにこんな良い小説を読めて、ああ本屋大賞とは良いものだなと思った。

前から平積みはされているものの、この外装にひかれず、かつあまり知らない作家だったので小難しいのかと勝手に思い込んでしまっていた。

 

走馬灯のように進む話の流れ、余韻のある終わり方。子供がいない八日目の蝉のような。

 

今年の本屋大賞は朝井リョウの新作はまあ当たり前に良かったのだが、プライズが個人的には良かった。

期待を超えるという意味ではこの本が個人的ナンバーワンかもしれない。

罪は償えばいいとか、必ず救いがあるとかそういう話ではない。読みやすい。

外来の雑記

これもまあ数年後に読むと気持ちが変わってるんだろうなと思う。

学生時代や研修医時代に倫理的にヤバいなとか思っていた人や医者として好ましくないなと思っていた振る舞いをする上級医が、実際に臨床に出るとまともな医者だったりして。

逆に腰が低くて優しかったり、穏やかそうな人が同僚となるとヤバかったり。ヤバいというのは勤怠の話ではなく、患者に害だとかガイドラインすら読まないとかそういう意味で。

 

本題。

結局のところ患者さんがみると治療に影響を及ぼしてしまうから、ということなのかきれいごとが好きな人が多いのか本当に実践的な外来の本がない。春日武彦先生の本は大好きなのだが、まああれも一部からは評判が悪いわけで。

 

本当に正しい、患者のためになる外来というと患者さんや一部のコメディカルの人たちは

傾聴してくれる、優しい

ということになるんだろうが

 

基本的に長く通うという精神科の特性上は持続可能な外来がまず大前提だと思う。

もちろん病気の症状でないという前提だが、いわゆる神経質でクレーマー気質の人に対して前向きに指導をしたり、薬剤調整をしたり、近医に紹介するというのは本当に面倒なこと。

だいたいこういう人は攻撃的、というか攻撃することで自分の要望を通してきた経緯があることが多いので、言われるがままに薬を出し、本人の望む診断書を書き、自分の休み時間を削ってでも長い話を聞き続ける。

正直なところ自分だけ、と考えると仕事と割り切ってこういうことをしたほうが楽だし、現にチェーンメンクリなんかはそうなんだろうなと思う。楽だもんな。

 

しかしこちらも仕事として真面目にやっている部分があるので、まあそんなことはできない。

かなりの年収をもらえれば金のために魂を売り渡せるのかもしれないが、独身の身ではそこまで魂は捨てられない。

 

研修医の時に親切でなんて優しい先生なんだろう、と思っていた先生は実際引き継ぐ側になるととんでもないなと思うし、発言がヤバいと思っていた先生は発言はやばくても患者に対して誠意を持ってしっかり治療をしていたりする。評価は変わるもんだなと思う。

 

以前、10年来のF4〜F6外来みたいな、これはもうどうしたらいいんでしょうか…というのを受け持っていたことがある。

当時は発狂するかと思ったし正直もうやりたくはないが、その外来を持った後で患者の長期予後を考えるようになった。

もちろん10年以上に渡り治療が膠着している人は一部で、そうでない人はそこから去っているだけという話もあるが、自分が初診でみたりまだ通院期間が短い方の場合にどうやったら焦げ付かせないかを意識するようになった。

 

例えば、明確に内因性のうつ病というわけではない、適応障害レベルの人の場合には安易にゆっくり休みましょうだとか、休めるだけ休みましょうだとかを言わないとか。そういう方に休職や薬を勧める時には、あくまで部分的ですよとお話するとか。

何かの講演会で内因性の適応障害という表現をみて興味深いと思った記憶がある。自分は初診の際には極力抗うつ薬は出さずに眠剤を出していたが。

昔の流行りとしてうつ病の神経症化、とかいうのもあったな。

ゆっくり休むだけ休んで、数年間休職をしたその先にあるものとは?と思うと、やはり責任は重いなと思ってしまう。 

年金生活にそのまま突入できる年齢でもなく、資産があるわけでもなく、清貧が好きな人でもなければいつか仕事はしないといけないわけで。

 

正直なところ耳障りの良い言葉を囁いて、「やる気が出ないうちは休みましょう」とかいって休職と傷病手当の診断書を更新し続ける外来はまあ楽ではある。その瞬間は患者さんもホッとするし安心するし。

 

こう書くと、いわゆる詐病のような人がいるのでは?と思われそうだが詐病の人は基本的にいない。

精神科は嘘発見の仕事ではないので、辛くて眠れないし気分が沈みますと言われればそれを事実として受け取るのが基本的な仕事なわけで。そして、詐病であれば本人も分かっているのでご自由にというわけである。

 

問題は詐病ではない、善良な患者さんたちである。しっかり休めば、抗うつ薬を飲めばやる気が出て気分が晴れると思っている。医者の指示通りにしっかり休んで薬を飲んでいるのに元気にならないなと悩むわけで。よくSNSでサボりだ疾病利得だと言われるけど、基本的には患者さんは被害者なんですよね。

 

もちろん世の中に心底サボりたい、みたいな人がいないとは言わないが、そういう人は生活指導をされた時点で恐らく去り、面倒なことを言わずに診断書発行マシーンをしてくれるクリニックを探すので生活指導をされつつ通院を続けているという時点でみなさま真面目でちゃんとした方なんだよなあ。

そういう方の人生を長い目でみて壊さない、そういう外来をしたいものです。

女性性から降りきれないボーイッシュと相性が悪い

いまさら性別を隠す必要もないが、私は女で。

私は、というか多分女全般が仲良くできないのは髪を短くしてボーイッシュ風で一見サバサバしている女が一番女の嫌なところを煮詰めたような性格をしている、というのは女性なら割と共感してくれるはず。

 

男性陣はよく若い美人や可愛いぶりっ子に女は嫉妬して仲悪いんだろ?なんて思いがちだがそんなことはない。美人や可愛い子はそもそも性格が良いことが多いし、悪くても開き直った悪女タイプでひねくれていることは少ない。

あまりこういう言い方は好きではないが、中学校や高校生時代にいわゆる一軍ポジションではないが、一軍のいじられ役をしてなんとか一軍に入り込んでいた層というか。

 

これについて考えていたが、ボーイッシュでサバサバ系というポジションを取らざるを得なかった過去と考えるのが自然なんだろうなと思う。

そうして女性性に対してアンビバレントな感情を持つことで、ボーイッシュなのに変にねちっこいという性格ができあがる。

美人や可愛いという評価の外に出るためのボーイッシュ武装というべきか。

可愛いとか美人と言われるポジションではないがまあ悪くないよね、みたいな評価をされて、飲み会では騒いでムードメーカーをするような人々。

 

飲み会でおちゃらけて下品なことを言うが、肝心なところでは本当はそういうことは好みではない、みたいな。そういうところが透けて見える人はいると思うが、こういう人と私は本当に相性が悪い。

 

可愛い、美人キャラではやっていけないが集団から外れたくないし、女コミュニティでもやっていきたい。その成れの果てがノリがいい、サバサバ、いじられ役ということなのか。

 

「私は女の嫌なところから降りています、サバサバしています」

という顔をしながら、

実はかなり女社会的な序列争いをしている。

 

そう考えると、こういう人にありがちな男女問わず全方位にタメ口なのは何もフレンドリーということではなくて雑に距離を詰めて主導権を握ってるから嫌いなんだろうな。

「壁作らないんで」「固いの苦手なんですよ」みたいな。

昭和とポリコレの狭間で

来年度から前の職場に戻ることが決定したのだが本当に憂鬱だ。

もちろん良い部分もあるのだが、なんというか精神衛生に悪いことがあまりに多い。

 

自分自身は前時代的な医者の働き方を知っておりハイパー科なら現在も仕方ないよな、と思いつつ、ゆとり世代なので自分はQOLを求めてしまう。

来年度からの職場はまさに昭和とポリコレの狭間という感じで、産休育休はもちろん病休にも優しいのだ。産休育休はともかく、病休のとある人はかなりいい加減なことをしていたのだがその対応もかなり甘かった。別に休職は権利なのだが、休職をせずに勤務した扱いにして出退勤をしたり、突然休んだりしていた。

そんな人も島流しというべきか幽閉というか、まあ別の職場に移されている。ただし明らかに仕事は楽で給料も多いのでそれを考えると気が狂いそうになるが、同じ職場であった時の苦しみを考えて溜飲を下げている。

なお、とある人関して私が実際に把握していない期間はともかく、指定医申請に必要な実務経験は明確に満たさない期間が1年以上あるのだが……。実務経験扱いにした日には自分が破門されることを覚悟で告発しようかと思っていたぐらいには嫌いな人間だ。

 

ここまで"権利"に優しいため、当然ながら他の権利に優しいかというとそうでもない。

有給を取らせていただけるだけありがたいという話もあるのだが、昨年は有給フル取得は悪いかと思って遠慮して8日で申請したのだ。すると嫌味メールをいただいたというわけである。

これ以外にも優しいのか優しくないのかわからないエピソードは多いのだが、私は上層部の考えもなんとなく理解できてしまう。

上層部の価値観は昭和、これは全く批判ではなく当然のことで、勉学に励む間は休みなどいらんだろうと。ただし、最近のポリコレ価値観で産休育休など子供に絡むこと、病気など"ご配慮"を要することは(本当は配慮したくなくても時代の流れがあるから)配慮しますよということなんだろうな、と上層部の気持ちもわかるのである。なんならまともに休みのない若手時代を過ごして、現在のゆとりたちのせいで中高年になってもオンコールをやらされているのは可哀想ではある。

というわけで、医療者としての昭和的価値観と最近のポリコレへの配慮が合わさった結果としてこうなっているんだろうなと思う。

今の職場の居心地が良い理由

今の出向先が大変居心地が良いので、その理由を分析してみた

 

全員の負担がほぼ同じ

いや、トップは大変だし指定医持ちは指定医オンコールは多いので下である私たちが楽なことは事実ではあるが。全員が平等にオンコール、救急、外来、病棟なのでイライラすることがない。オンコール免除の人が夜勤帯に置き土産を残して呼びつけられるのって本当に最悪なんだよな。お互い様にならないので。

 

勤怠が安定している

当たり前といえば当たり前のことだが、昨年度は欠勤に次ぐ欠勤でひどい目に合わされた。ちなみに特定の誰か1人の話ではない。欠勤する人間にdutyを与えるわけにもいかないので、すると残りの人間で割ることとなる。不公平がひどい話だし、欠勤している人間もより居場所が無くなって気まずい様子だった

 

外来主治医と入院主治医が同一

これは本当にびっくりするぐらいノンストレスである。正直なところ患者自体の治療は大きく変わらないのだが、家族を含めて言った言わないの対応が本当に面倒くさい。家族ならまだしも施設が混ざってくるとどうしようもない。戻したくない施設 VS 退院させたい病院の戦いは不毛でしかない。

外来で経過をみているから入院後も何がベースの状態か分かるし、方針も統一できている。

何よりも悪化して入院になったら自分が主治医だ、と思うことで外来さえ終わればいいや、の事なかれ主義ではなく入院にならないように薬剤調整や説明を積極的に行うようになる。医療保護になった場合に同意してくれる家族がはっきりしない場合は早めにPSWに相談して動いたり…

デメリットとしてはその病院に在籍が長いと重い症例や困難症例が溜まりがちかもしれないが、長い人は経験年数も多いのでトントンかもしれない

 

上司が漢気に溢れている

こんなところに書くべきではないかもしれないが、本当に今の上司は男気がある。こじれた症例や行政経由の症例などどこもとりたがらない症例を受ける。まあここまでなら良い顔しいの人ならやるかもしれない。

上司がすごいところは困難症例を受けるがその後の尻拭いもしてくれるところである。なかなかできるもんじゃない。だからこそ若手も本来断りたい症例でも入院を受けて治療ができる。後からああでもないこうでもないとも言わないのだ。そしてトップなので若手にあれこれ押し付けてもいいのだが、むしろ雑務の大半も困難症例も受け持ってくださる。現人神。

 

人員配置のバランスが良い

かといって漢気にあふれた人間ばかりいても病棟が困難症例で溢れ返ってしまうので、ほどほどのバランスで成り立っている。男気のある上司はこちらから求めなければほぼ治療について指導はしないが、別の上司は求めると詳しく教えて一緒に考えてくれる。地味にこのバランスが良いと思っている。「せんせーの治療でいいと思うよ」とだけ言う上司も困るが、複数人の上司がああだこうだと言うのも困るところ

 

有給が取りやすい

有給を取得しても嫌味を言われることがなく、むしろ推奨している。上司が休まないと若手は取りにくいことを知ってか、率先して連続で休んでくれる。私の話ではないが、飛び石祝日に絡めた連休取得の希望を出しても「早い者勝ちですからみなさんも」という感じで、本当に働きやすいことこの上ない。

ちなみに前の職場は年間日数10日付与されているところ、もちろん周りに根回しして8日で申請を出したら、結構上の上司から「有休消化は義務ではないです。あと他の方はおおむね年間5日以内ですので知っておいてね(意訳)」というお返事がきて、普通にびっくりした。まあ前の上司も可哀想なもので、イマドキの価値観で配慮しないとアウトなことは配慮せざるを得ないが、そうじゃないものは(ryということなんでしょう。分からなくもないが働いてる側としては納得がいかないですね。

 

コメディカルが優しくて有能

正直なところどうやって採用しているのかと思うほどコメディカルの皆様が優しくて有能なのでびっくりしてしまう。人間として尊敬する職員ばかりで、よほど採用の倍率が高いのかと思ってしまう

 

病棟看護師がちゃんとしている

どういうところがちゃんとしているかと言うと…

・指示簿に38.5℃以上の発熱で血培と入れてあると、何も言わずに取ってくれる

・緊急入院に文句を言わない

・オンコールの際の連絡が適切な内容ばかり

・夜勤帯で採血をしてくれる

この記載でお察しの通り、当然と言われれば当然だが前の職場が大概だったので緊急入院に文句を言わないだけで夏頃までびっくりしてしまっていた。

「〇〇さんが薬を飲まないので説得してください」みたいなコールが夜間にこないのは本当に精神衛生上良い。看護師が看護師として必要十分なことをしてくれるというのはなんと働きやすいものか。前の職場はアセスメントを丁寧に記載する人が多く確かに参考になることもあったが、まあ普通の業務を普通にする方が優先ですわね

 

今の職場の欠点

・検食が美味しくない

・風呂場が霊安室の前かつGが出る

 

それ以外思い当たらない。

給料は高いが、まあ前の職場と給料が逆転しても今の職場の方が良い。

そして可処分所得という意味では正直なところ私の個人的な事情で大差ないが、働きやすさでQOLが本当に高い。

オンコールの回数は増え、残業も増えてはいるがちゃんとした臨床業務で増えるぶんにはなんら問題がないですね

学生時代のクラファン50万円大炎上

美容外科に進まれた女医さんが学生時代に心臓外科医になりたい!というクラファンで50万円を得ていたことがいまさら大炎上していてびっくりしている

ちょくちょく炎上しかけていたが、今回は美容外科の大御所がコメントしたことで一般の人から大炎上を食らっているということで…

 

まあ学生時代に心臓外科医になりたい!といって50万円集めて、その後に美容外科医になったのなら確かに返せよと思わなくもないが、そもそもクラファンなので…

そもそも返せと言ってる人はどこに返せと言っているのか理解不能ではある。その女医さんが国立ナントカセンターに50万円寄付すれば満足なんだろうか?絶対違うだろ

 

学生時代にイキったことを言うのは誰しもで、あの先生が特別悪く言われるのが理解できないと思ってしまう。

というか、50万円だけで済んでいるだけマシで

 

・地域医療を支えます!と言って地域枠で入学したのに卒業後は都会へ

・バリバリ働きます!と言って再受験したのに早々に自由診療

・女性だからって差別しないでください!出産後も男性と同様に働きますと言っていたのに(ry

 

こういうのは必ず身の回りにいると思うし、正直クラファンの50万円よりもバリバリ働ける医者の枠をひとつ潰しているという点でよほど害悪だと思ってしまう、もちろん自分も例外ではないが…

内科/外科に進みます!と言って精神科に進んでいる多数の精神科医も同罪とカウントされるのかもしれない

 

もっと言うと最低限の研鑽をしないのに保険診療をして患者に害を与えるのが最悪だと思うのだが、あまりそのあたりは触れられないようで…

例えると、リスペリドン3mgとオランザピン10mgだけ使って治療抵抗性統合失調症です!と送り付けてくる専門医/指定医持ちの医者とか、本当に資格を剥奪されるべきだと思ってしまう。ちなみに老人でもなく中堅である。もはや優良誤認として規制されるべきだろ、金だけでなく患者が寛解して過ごせたかもしれない時間を奪っているのは害悪でしかない、と思うのはまだ若いのかもしれないが

 

最初から心臓外科以外に行くつもりでクラファンをしたならともかく、単に気が変わっただけだろうに本当に可哀想だなー

そしてこのあと某女医さんが「学生時代に病気になってしまい云々」「子供が産まれて云々」と言えば叩きはおさまるんだろうなあと思うとなんだかなーと思ってしまった

 

というメモ

【小説メモ】変な地図

 

 

みんな大好き雨穴の変な〇〇シリーズ。二番煎じの書籍を色々読みましたが、原点にして至高かと。

2作目の変な絵はこじつけ感があって、変な家の番外編もつまらなくて。やはり1作目が最高であとはつまらないよくあるパターンかと思いきや、この3作目である変な地図はなかなか練られていると思いました。

もちろん腰を据えてちゃんと読む本というより、ラノベか漫画感覚で読む本ですが、まあ単行本の値段を出してもいいかなと思う本です。似たものがないので。